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こんにちは、もつです。
試写会で「聲の形」を観てきました。
京都アニメーション制作、山田尚子監督です。

以下感想です。
ネタバレがあります。

原作漫画は未読です。

聴覚障害とかいじめとか広くなりがちなモチーフをパーソナルな人間関係の話に落としているところが良かったです。
特殊なシチュエーションではあるけれど「これはあなたの話なんだぞ」ってのが感じられました。欲を言えばもっと感じられた方がよかったのですけどね。
眼鏡やコンタクトをしてる人だってマサイ族からすれば補助器具を付けた視覚障害者じゃないですか。程度の差こそあれ、結局そーゆーのは個人の問題で、外野があーだこーだお節介するもんじゃないって僕は思ってます。
そんな思いに通じるものがこの映画にもありました。

例えば、気になる人が聴く音楽を聴いてみたり、好きだと言っていた本を読んでみたりする。そういう真っ当なコミュニケーションの延長線上に手話があって、主人公の男の子は女の子の気持ちが知りたくて、女の子は男の子が使う言葉で気持ちを伝えたくて……。微笑ましくじわりと心打つものがありました。
また、たとえ相手を批難するためであっても言葉は学ばなきゃいけない。共通の認識を持たなければいけない。終盤の「バカ」のシーンには作者のコミュニケーションポリシーのようなものが感じられました。
「コミュ力ないから」っていつも誰かに言い訳してるような人には是非観ていただきたいです。問題はそこじゃないんだ。

んで、この作品のような話、僕は後悔モノって呼んでて大好物です。
後悔は大なり小なり誰でもする普遍的なものだから、やっぱり共感度の高い要素です。
タイムリープものが沢山あるのも結局、人が後悔して「でも悩んでも仕方ないね今を生きなきゃ」って一連の葛藤を描くためでしょう。
因みに僕は漫画家の東村アキコさんが描く後悔が一番好きです。
で、後悔モノは後悔したうえで未来への抱負を述べたらそれで話は終わりなんですよ。「時かけ」なら「すぐ行く、走って行く」ですし、「秒速」なら踏切を背に歩き出す描写ですし、「かくかくしかじか」なら「描くしかないじゃん」です。
「聲の形」でそれがどこにあたるかって言ったら「生きるのを手伝ってほしい」だと思います。
つまり、そこで話は終わったんじゃないかなーって僕は思うのですが、それから映画を終わらせるのに結構ゴタついたのが残念です。
特にラストの泣くシーンは正直いらないっす。しかも芝居に作家のエゴが感じられてしまったのが非常に惜しい。
主人公が女性みたいな泣き方をするのですが女性みたいにする意味がわかりませんし、その女性っぽい泣き方も型にはまった芝居で悪い意味でアニメらしい。これが「けいおん!」の泣き芝居ならお見事ですがそういう作品じゃないでしょう。

ちょっと検索して原作の画像を見てみましたが、原作の絵の方が真に迫っていますね。
アニメは何だか可愛すぎます。もっと皺描いていいし影つけていいしコントラストつけていいと思いました。アニメだから線を少なくしたいんでしょうけど、他の部分の手間を省いてもここは力を入れてほしかったです。
大袈裟でももっとエモーショナルな作画で観たかった。
比べるのは失礼かもしれませんが、こういうのはやっぱ長井龍雪さんと田中将賀さんのコンビが巧いなぁと思ってしまいますね。

それと今回のそこまでリアルではないキャラデザや色彩設計や背景と比べて撮影が若干浮いているように感じられました。色収差とか周辺光量のレンズエフェクトがくどいです。
でもこんなとこは一般の人は見ないから気にしなくてもいいのかな。

なんだかんだと文句を付けていますがそれはこの映画がそれなりに面白い証拠です。ただ惜しいってだけです。本当につまらない映画は何も言えないですから。
先生はブン殴りたくなるしモコモコ頭の長束くんの動きや表情はコミカルで楽しいし結弦ちゃんはとっても可愛いのでそれだけでも楽しいです。長尺の映画ですが飽きませんでした。芝居中心の作画で京アニの地力の強さも感じられましたし、暇だから何か観たいなーという人にはオススメです。


試写会なので宣伝側が選んだのかもしれませんが、客層は若い女性が多かったです。
前には高校生か大学生くらいの女の子二人組が座っていました。カメラロールにはテンプレ自撮りばかりで、自分のチ○コ(無修正)を握った男の写真(自撮り)をLINEで見ながら談笑していて、劇中のキャラを見て「童貞リアクションwwww」ってケタケタ笑いながら女の子同士で肩をくっ付けているのを後ろから眺めていると、大人未満女性のやり場のない感情の発露を見た気がして私はそこはかとなく感動しました。

おしまい。


もつ
2016/09/08(木) 04:01 もつ煮込み PERMALINK COM(0)
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